高度の高い山に登る場合などに、よく聞く病名「高山病」。この高山病を回避する事が富士登山登頂成功の必須条件になります。
ただ、名前はよく聞くけど、どんなものなのかは意外と知られていないもの。高山病とはどんな物なのか、簡単に学んでみましょう!
高山病は、誰でもかかる可能性のある、高地で出る症状です。正しく知って正しい対策をしていきましょう。
高山病(高所障害)とは、低酸素状態に置かれたときに発生する症候群で「低酸素症」と言います。高山では地上と比べてきわめて空気が薄いので、大体2,400m以上の高山に登って、酸欠状態に陥った場合かつ低圧・低酸素に順応できずに生ずる一連の症状の事をいいます。
高山病は一般的に言われる「病気」ではありません。低酸素状態に対応しようとする体の変化で、誰にでも起こりえる事です。発症の具合は人それぞれで差が大きく、年齢差、山の経験などに関係なく発症します。
ですから、どのぐらいの高さで起こるのか、どのぐらいの体力があればかかりにくいかなどは、個人差・体調による差があまりにも大きい為、お伝えする事が出来ません。しかし、突然発病して倒れるといった病気とは違い、必ずその前に兆候が現れ、警告を発してきます。 その体からの警告を、察知することができるかどうかが重要です。
では、具体的に発症する条件はどんな時なのでしょうか?
どのくらいの高度で生じるは個人差・その日の体調による差がありますが、一般的には2,000m、高齢者は1,500m以上で高山病が生じる可能性があります。ただし、ただ単純に高度だけが問題なのではありません。高度を上げるペースが重要で、1日500m以上高度を上げた場合に、発症しやすいといわれています。
高山病はその人によりそれぞれ症状が異なります。
主に眠気・あくび(脳に多く酸素を送る為に「あくび」が出ます。)、頭痛(頭が重い、鈍痛、頭を振ると痛い)、顔・手・足に「むくみ」がでる、全身倦怠感、食欲不振、胸の圧迫感がある、吐き気、不眠、放屁(気圧の低下で、腸管内にガスが溜まり易く なる為。)、下痢などがあります。二日酔いに似た症状もでます。
※標高3,000mクラスの山で発生する高山病の一例です。個人により症状に差があります。
前述した通り、高山病の初期症状は登るにつれ酸素が急激に少なくなる変化に体が対応できない為に起こる体の変化(防衛本能)の為、100%の予防策はありません。ただ、発症しずらくする方法はもちろんあります!ポイントを守って富士山攻略を目指しましょう!
高山病対策 ポイント1
五合目に到着したら、登山開始までゆっくり身体を高所に慣らしましょう。ガイド付プランなら、登山開始まで順応時間をとっていますが、フリープランの方は特に注意!到着してすぐに登り始めるのはNGです。ゆっくり体を慣らしましょう。
高山病対策 ポイント2
ゆっくりと体が適応できるスピードで登っていけば、高山病になりづらくなります。 歩幅を小さく、あまり足を持ち上げず、ゆっくりのんびり過ぎるぐらいのペースで登りましょう。
高山病対策 ポイント3
うすい酸素に体を慣らすためには深呼吸が大切。
吸うことよりも、ゆっくり深く息を吐くことを意識しましょう。疲れて呼吸が浅くなると、なおさら酸素不足になります。意識して大量に空気を吸い込むようにしましょう。 腹式呼吸をこころがけてください。
高山病対策 ポイント4
リュックの胸部・腹部のベルトなどは、あまりきつく締め付けない様にしましょう。
きつく締めすぎると、腹式呼吸の妨げとなります。リュックがずれない程度の適度な加減で調節して下さい。
高山病対策 ポイント5
鉄分が不足すると、血中の「ヘモグロビン」が減少し、吸った酸素をうまく体内に取り込めなくなってしまいます。 貧血症状の方など、気になる方は普段から 鉄分を食べ物や栄養剤で摂取するように心がけて下さい。
高山病対策 ポイント6
何より、寝不足、体調不良、飲酒をしないなど前日の体調管理が重要です。登山の前日は深酒は避け、しっかり睡眠を取り、万全な体調で臨むように心がけましょう!
高山病対策 ポイント7
山小屋で体を休め、2度目の高地順応をしましょう。
ただし、山小屋内は人が多いと酸素が薄くなっている場合も多い為、 気分が悪くなった場合は、出発まで規則的に深い呼吸をすることに専念して下さい。 室内でどうしても気分がすぐれない場合は、温かい服装で、 少し外の風にあたり、ゆっくりと深呼吸をして体調を整えましょう。
高山病対策 ポイント8
雨の日は気圧が低いので、さらに高山病になり易い様です。 今までのポイントを押さえて、悪条件でも攻略出来る様、頑張ってみて下さい。
高山病に特効薬はありません。残念ですが下山をお勧めします。
残念ですが、高山病は体内の酸素濃度が足りないだけなので、治療法は、「標高の低い」、「気圧が高い」、「酸素の多い」ところに移動するしかありません。 発症してしまった場合は、無理をせず、すみやかに下山してください。
筋肉の力が弱る症状が出る場合、あるいは意識障害が発生した場合、自力での下山が困難になります。